センター通信より

ボランティア紹介


蔵書を読む

音訳すまいる Y.H


佐世保の片隅で主に蔵書を読むグループ「すまいる」で活動をしています。
学生の頃放送部に入り漠然とアナウンサーへの憧れが芽生えていました。
就職時期に漢字が読めないという致命的なダメージに気付き(気付くのが遅すぎますよね)アナウンサーを断念しました。
畑違いの仕事につき結婚、子育てを経てひと段落したころ、絵本の読み聞かせのボランティア活動をしている仲間が音声訳もしていると聞き、 説明を聞いているうちに老後の趣味にいいんじゃない?と軽い気持ちで参加しました。
始めてみて改めて自分が抱いていた夢は何て無謀だったのだろうと痛感しました。ならなくてよかった(いやなれなかったのですが)。
最初に躓いたのは朗読とは異なり表現を露わにして押し付けないように淡々と読むことです。押し付けた表現は聞く手には耳障り、 感情は聞き手側が脳の中で描くことだから。でも読んでいくうちについ感情移入してしまう自分がいて何度も読み直していました。
目の不自由な方だけでなく本を読む行為が困難な方の傍に寄り添って読む…があまり注釈を付けると“それぐらい解るよ″ と言われるかもと悩みながら読んでいく。本当に奥が深く気の抜けない作業です。 漢字に苦しみ、アクセントに苦しみ、作者の意図することに悩み、聞き手の方々に伝わっているかと不安になり、 校正が上がってくるたびに自分の不甲斐無さに打ちのめされながら何度「もう無理、今回で終わりにしよう」と決心するのですが、 読み終わって暫くしてサピエにあがっている本の題名を見つけると、もう少し頑張ってみようかと思ったりの繰り返しで今日まで来ています。
こんな状況なので家族の協力無しではとても続けられませんでした。感謝しきりです。
音訳で部屋に籠る時「決して覗かないで下さい」と釘を刺すと「おまえは鶴の恩返しか」と返ってきます。


以上